■2009/06/13
ローゼンハイム→ミュンヘン

◆前回までのあらすじ



デジカメが壊れました。

一応写真は取れるんですが、しぼりが開きっぱなしになるらしく、画像が白くなってしまいます。
特に外や明るい場所では、完全に真っ白に;

なので以降の画像は非常に見辛い所もありますがご了承ください;





あさ〜あさだよ〜



あさごはんたべて、さんぽにいくよ〜



この写真が、夕べ泊めてもらった宿の入り口です。
かっこいい細工看板が出ているんですが…写真だと色飛びしてわかりませんね;



ローゼンハイムの教会その1



多角形のドーム状になっていて面白いです。



教会その2。



その3。



広大な墓地もありました。



ルーデル閣下に敬礼!



途中でストリートコンサートを観たり。



以上がローゼンハイムです。
11:45発の列車でミュンヘンを目指します。



到着しましたミュンヘン駅です。
さすがは国境近くの大都市。
バイエルン州の州都。
駅も大きいです。



駅の書店にはドイツ訳された日本のマンガも多数揃っていました。
『ワンピース』と『ふたりえっち』と『カードキャプターさくら』と児童本を同じ棚に置くのはどうでしょう。



とにかく大きな駅です。
出口を間違えないように気をつけないといけません。
コインロッカーに荷物を預けて、観光スタートです。



ミュンヘン最大級の教会『ミヒャエル教会』。



後方のオルガンも豪華です。



天井の高い『フラウエン教会』。



こちらのオルガンはカッコイイ。



『新市庁舎』ではお祭り(詳細は下のほう)をやっていて、そこでくじ引きをしていたので私も挑戦しました。



1ユーロを



缶に入れて



くじを引いて…



当てるぞー!



はずれた〜;



これは『ペーター教会』かな?



ここからは、以前に公開した内容ですが、ミュンヘンにたまたま訪れたこの日、『コミックフェスティバル』という、日本のコミケに相当しそうなコミックとマンガのイベントに遭遇しました。



何の前情報もなく当日現地で本当に偶然チラシを見て知ったので、全くわけもわからないままイベントに一般参加しました。
しかし、それは非常に興味深い内容でした。

※参考
『Comicfestival 2009 in Munchen』
http://www.comicfestival.de/(注:リンク先ドイツ語)

まずイベント会場つくりから、日本とは趣が全く違います。



上の画像はイベント会場のマップです。
ミュンヘンの都市全体に、会場が散っている事がおわかりいただけますね。

日本のコミケ(ほか同人誌即売会)はイベントホールや市民会館などで催されるのが一般的です。
対するドイツのミュンヘンでは、なんとミュンヘンの観光地を会場として使っているのです。
もちろんイベントホールも使うのですが、それ以外に歴史的建造物の一部、市庁舎の別館、博物館の一部…など、イベント会場を小分けして、それぞれの会場にはテーマが設けられていました。









会場(1)はディズニー作品などの原画展、会場(2)はコミックイラストレーターの座談会、会場(3)はアマチュアコミックイラストレーターの作品即売会、会場(4)は古本市…といった具合で他にもフィルム作品の上映会や、クラブ会場を借りたコスプレパーティなど、会場を回ると同時にミュンヘンの都市観光までできてしまうのです。









原画展では、古いコミックのイラスト、アニメ作品の背景画や人物設定画などがパネル展示されています。



コミックイラストレーターの座談会風景。
会場は博物館まで併設されている、歴史的建造物でもある酒場(営業中)。
その一室に、プロジェクターを設置して行われていました。





即売会風景。
日本の同人誌即売会と良く似ています。
長机に自分の作品を並べて売るスタイル。



即売会には有名プロも多数参加し、サイン会やスケブ、即描絵の即売などをしていました。
ザ・シンプソンズの原作者や、ギャザのイラストレーターなど、日本でも知られている人を直に見られて、その場で描いている姿まで拝めたのは大きな収穫です。



会場は圧倒的にアメリカコミックが多数派でしたが、ドイツ人で日本マンガファンのブースもありました。
日本の漫画に影響を受けて描いたような同人誌。アニメキャラクターのコスプレなどを見られました。
(購入した本の写真など詳細はこの日記の下のほうにまとめてあります。)



「僕も絵を描くんだよ!」って発言したら、描かされる羽目に。

その場所に、日本語がしゃべれる方がいたので、その人を通じてドイツのコミック・マンガ文化、日本のマンガ事情について情報の交換をしました。

(※以下はあくまで会場20人程度のドイツ人、アメリカ人、フランス人から得た情報です。それに鯖夢の主観が加わっている事をはじめに断っておきます。ようするに、鵜呑みにはしないで下さい。)


●ドイツのコミック・マンガ事情について。
最初に、『COMIC』と『MANNGA』は全くの別物として考えられています。
(『COMIC』や『MANNGA』という言葉には、イラストやアニメーション作品も同義として含まれています。)

この理由は、アメリカ人の『COMIC』を描く人はアーティストとしての自覚があり、『COMIC』を描く事に非常にプライドを持っている事にあります。
アメリカのコミックイラストレーターは、日本人のなぁなぁな態度と合わせ日本の『MANNGA』と一緒にされることを嫌い、完全に別の文化として捕らえています。
その考えがEUにも浸透しているので、基本的に日本の『MANNGA』つまり、マンガは異文化、またひどい場合は『COMIC』よりも低俗な文化として捉えられているそうです。
そのためマンガファンやマンガ作家は、どうしても蔑まれる傾向にあるそうです。

それが原因なのか、私の絵のついた名刺を渡した際、



数種類あって例えばこんなやつなんですが、これを渡すと非常に喜ばれる場合と、蔑まれる場合がありました。

一部、大友克洋氏(AKIRA)や士郎正宗氏(攻殻機動隊)など世界受けした作家を除いて。
意外にも、宮崎駿の知名度はかなり低いか、「日本では有名な人らしい?」程度の反応でした。

ちなみにドイツ人のコミックイラストレーターは記録にはいるようですが、一般的には全くの無名のようです。
少なくとも自分の話を聞いた相手は全員知りませんでした。


●日本のマンガ事情について。
多数のドイツ人、アメリカ人、フランス人は「日本マンガの古典はAKIRAであり、日本人はAKIRAを崇拝している。」と考えているそうです。
かなりマジで。
私が「AKIRAはそんなに好きじゃない」というと、目をひん剥いて驚いていました。

『ヲタク』という言葉が日本において軽蔑であることは知られていました。
ただし、ミリヲタ、アニヲタ、萌ヲタ、ドルヲタ…などの細分化までは範ちゅうの外のようです。
とくに、ミリヲタに関しては「理解できない!」で一蹴されました。
敗戦国である日本が戦争、とくに第二次世界大戦に対して好意にもとれるような感情を抱くのは、相当滑稽に見えるようです。
雰囲気的に『ヘタリア』や『ストライクウィッチーズ』の話題は出せませんでした;
ちなみに『厨房』や『〜厨』という言葉は知られていませんでした。

日本の同人世界にもそれなりにドイツ人は明るいようでした。
『東方』が、今の日本の同人世界でかなり大きな存在である事も知っていました。
ただし“HENTAI MANNGA”としてですが…;
(※“HENTAI MANNGA”とは、成年向け18禁マンガやエロアニメのこと)
『初音ミク』や『アイマス』、『なのは』も、名前は知らないけど、画像を見せるとデザインに見覚えはあるそうです。
全部まとめてHENTAI MANNGA扱いです。

目と頭が大きくて等身の低い女の子≒HENTAI MANNGAという偏見はかなり根強くあるようです。
今の日本で発行されている“あれな内容”の少女マンガを「子供向け」として発行しているんですから、仕方ないともいえますが;
当然、私の絵なんかをみせてもそういう風に捉えられるので、鯖夢も仲良くHENTAI MANNGA家の仲間入りです。







古本市会場のような場所の風景はこんな感じです。
遊戯王カードやゾイドまで売っていました。
どちらかというとワンフェスみたい?

とくに欧米コミック・マンガ文化圏イベント最大の特色と言えば、コスプレイヤーのダンスパーティでしょう。
残念ながらその実際の会場を見ることはできませんでしたが、写真パネルの展示、その辺をウロウロしているコスプレイヤーを見て雰囲気は感じる事ができました。



色々とカルチャーショックを受けましたが、学べる事も多かったです。
なかでも、観光地を会場として使うという発想は非常に興味深いものでした。

ちょうど同じ日に、コミックフェスティバルとは関係なくミュンヘンでもお祭りが開催されていて、そちらも楽しむ事ができました。











会場は毎年違うらしく、会場になる場所でその行く先々の地元のお祭りも楽しめるなら、こんなに面白い事はありません。

これは、日本で活かせば町興しや村興しにつながるかもしれません。
(すでにある聖地巡礼、サマーウォーズでも話題になった上田市の町興しhttp://www.ueda-cb.gr.jp/s-wars/index.htmlから、さらにもう一歩踏み込んだ形として)
それは地域活性に留まらず、景観、文化重要建築物の保存、郷土愛、漫画家のアイデンティティー確立などのプラス要素を生み出すかもしれません。





たとえば上の2枚の写真なんですが、私が以前少し関わった日本の建物です。
これらはとても良い建物だと個人的には思いますし、歴史的価値もそれなりにあるのですが、現在ふたつとも存亡の危機にさらされています。

理由は、管理者が金銭的に将来維持管理できない事、そして今の法律では「歴史的重要建築物とみなされない」ので国や地域の保護を受けられない事などがあります。

どちらの建物も建設当時の最高技術で建てられ、構造的問題は無く、少し耐震強化してやれば今後何百年も持つであろう素晴らしい建物です。
しかしもしかしたら、これだけ立派な建物が近いうちに取り壊されてしまうかもしれないのです。

そしてこういった危機的状況にある建物はこれだけではなく、きっと知らないところにももっとたくさんあると思います。

たしかに今の時点では歴史的価値が弱いかもしれない建物ですが、現在のものを未来に残さないで、どうやって歴史を積み重ねる事ができるでしょう?
その一方で、利用価値が無く、維持管理にお金が掛かるなら、そんな建物は壊してしまおうという考え方もごもっともです。

ならば、こうした建物に利用価値を生む事ができれば、素晴らしい建物を後世に残せる道が開けるのではないのでしょうか?

たとえば、今回テーマに扱っているコミックフェスティバルのように地域巡回型のイベントがあったり、もしくは各地域が率先して地元の名物と絡めたイベントを催すなど、そしてそのイベントで中心的役割をその建物にもたせてやればいいんじゃないのでしょうか。
『残したい建物や風景に絡めた、観光収入を得られるイベントの開催』なんていうものがあってもいいんじゃないかと思ったりします。

今話題になっている、国営マンガ喫茶なんて揶揄されている『国立メディア芸術総合センター』も、建物を新設するのではなく、現存する建物で現状では保護の対象ではないが歴史的美術的に価値のある建物を利用するのはどうかなぁと。
その建築物だってひとつの文化や芸術と捉えて。
それがひとつの建物に収まりきらないなら、少し離れたところにでもいいから小分けしていくとか、それでも足りないぶんや、離れた建物同士をつなげる為に、そこではじめて建物や道路の新設を考えればいいんじゃないかなー…なんて考える次第です。

マンガやアニメの好きな人は、そのイベントが催されるならどこにでも行きます。
海外なら『コミックフェスティバル』、日本国内なら『あしやローゼン祭り』みたいな実績もあります。
日本人の考え方にありがちな「新しい建物やモニュメントを建てて観光人口を増やす」から「古い建物や特色ある街並みを保存して観光人口を増やす」に変えていけるかもしれません。
これには他にも多数の問題が絡んできているから、単純ではありませんが…;
それでも変えていこうという意思が大事なんだと、鯖夢は考えたりします。

ついでに、そういった事を世界に広報する事で、イメージチェンジ(少なくとも目と頭が大きくて等身の低い女の子≒HENTAI MANNGAという偏見を払拭したい;)もできるかもしれません(苦笑)。

なんにせよ、ドイツの『コミックフェスティバル』は考えさせられる事の多い、大変興味深いイベントでした。


ここからお楽しみの、コミックフェスティバルで買ったもの報告です。



ジャンっ!

まずはこれ、



ドイツ人の描かれた同人誌。
写真向かって左が健全本。
右が18禁本です。
どちらも複数人で描かれたイラストとマンガの合同誌でした。



健全本の内容はいたって普通。
日本マンガの影響が顕著に表れています。
ストーリーはオリジナルモノがほとんどですが、一部ハ●ーポッターやポケ●ンの二次創作もありました。
海外にも二次創作があるんですね。
興味深いもので、源氏物語のマンガも収録されていました。

つづいて18禁本ですが…





「キャー!HENTAI−!!」

とっても18禁な内容でした。
しかもどういうわけか、女の子同士の同性愛モノが多いの。

これらはあくまで芸術作品扱いということで。
お願いですから「国内へのわいせつ物持込」で鯖夢を訴えないで下さいね。

さらに、こんな雑誌も。



ドイツのカードゲーム専門雑誌。
おまけにプラ製のデッキケースがついてきました。
内容はとくに問題ないんですが・・・



切り取って使うおまけカード。
なんていうか、シュールです。
てかなんで遊戯王カードにピカチュウやナルト?

そしてきわめつけはこれ。



・・・
もう表紙見て、会場で笑いをこらえるのがやっとでした。
いったいなんなんだこのコラボは。



なんで戦ってるのお前ら?



右端でさりげなく拷問にかけられる男、
スパイダーマッ!!(例のBGM)

アメリカコミックみたいですが、ひどい内容です。
そのくせイラストは綺麗だから更に笑えます。

欧米は著作権に厳しいというイメージだったんですが、けっこう好き勝手なもの作っているんですね。
安心しました。
これからも世界中でコミックやマンガ文化が発展していく事を望みます。

ちなみに次回は2010年6月3〜6日にドイツのエアランゲンERLANGENという場所で『COMIC SALON』(注:リンク先ドイツ語)というイベントが開かれるそうです。
興味のある方はドイツへGO!





こ、こんな絵を描いたのは誰だっ!?

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